知ったか天国
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アメリカ
(ワイオミング州・1972)
J・M・Baker
長く尾を引いて飛び
去る鉄質隕石
直径5〜6m、重量1000t
と推定されている
地表に落下していれば
原子爆弾程度の
爆発になったと推定される
黒い粘土層
(スチーブンスクリプト)
下層は白い白亜紀
上層は灰色の第三期
フォボス
火星の衛星のひとつ
平均直径: 22.2 km
(27 x 21.6 x 18.8)
太陽系の衛星の中では
もっとも小さい
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1億6千万年に渡って繁栄を続けた恐竜の絶滅の理由は、まだ確定されてはいません。いま50を超える絶滅説のなかで、巨大隕石の衝突説が最も有力と言われています。
実際に6千500万年前に巨大隕石の衝突があったことが分かっていますし、その場所も特定されています。あの繁栄を極めた恐竜の大絶滅の理由としては説得力があって、とても受け入れやすいやすいものですし、何度も繰り返された生物大絶滅の説明にも納得が行きます。
隕石衝突説とその他の恐竜絶滅説をいくつか取り上げてみます。
1.巨大隕石衝突説
A.隕石衝突説の背景
1977年夏、カリフォルニア大学バークレー校の地質学者ウォルター・アルバレスは、北イタ
リア中部の町グビオにある石灰岩の研究をしていた。ある日、彼は白亜紀末と第三期初め
の層の間にある2cm程の黒い層を発見した。調べてみると、下層の白亜紀や上層の第三
期の層には化石が大量に含まれるのに、この当時海底であった粘土層にはほとんど含ま
れていないことが解かった。
もしかしたら、この粘土層が白亜紀末の生物大絶滅の謎をとくカギになるかも知れないと考
えたウォルターは、ノーベル物理学賞受賞者であり父親であるルイ・アルバレスの元に持ち
帰った。ルイは、この粘土層が堆積するために要した時間、すなわち生物が存在しなかった
期間の長さがわかれば、白亜紀末におきた生物大絶滅の謎をとくことが出来ると考えた。
そしてその方法として、イリジュウムの量を測定する事とした。イリジュウムは、地表上には
ほとんど存在しない物質であるが、隕石や宇宙塵として一定の割合で降ってくるため、時間
の長さが推定できるのである。しかし、この分析は失敗に終わった。なぜなら、この粘土層
の中からは、上下の地層に比べて30倍もの量のイリジュウムが発見されたからである。
しかも、この黒い粘土層は世界各地で相次いで発見され、年代測定の結果6500万年前の
大絶滅と一致している事がわかった。
この事実は、イリジュウムが地球外からの大きな物体からもたらされたと考える以外に説明
が出来ない。すなわち、これが1980年の隕石衝突説発表の根拠となったのである。
※イリジュウム(Ir):原子番号77の白金族元素で比重22。あらゆる物質の中で最も重い
もののひとつ。
B.隕石衝突のシュミレーション
この黒い粘土層には、マイクロテクタイトと共に大量のススが含まれていることがわかった。
マイクロテクタイトは、主に海底に多い玄武岩が高温で溶け瞬間的に固まったものであり、
衝突した隕石の圧力とエネルギーで海底の岩盤が蒸発して宇宙にまで噴き上げたられた
結果と考えられ、また、大量のススはその後に大規模な火災のあった事を示している。
カリフォルニア工科大学のトム・アーレンス博士とジョン・ディ・オーキフ博士のシュミレーショ
ンによると、隕石は火星の衛星フォボスの様な形で直径約10km、石質で重さガ約1兆トン。
秒速30km(音速の90倍)の速度で衝突して直径200Kmのクレーターを作ったと推定した。
直径10kmの隕石の先端が海面に到達したとき、後端は成層圏を脱したばかり。海面に接し
て0.23秒後、隕石は5000mの海水を押しのけて海底に到達する。隕石の先端部は海水の
抵抗を受けてつぶされる。1.45秒後に隕石は海底の岩盤を突き破りながら速度を落とす。
4.55秒後、隕石は衝撃によって爆発し、一瞬のうちに蒸発する。温度は太陽の表面温度の
3倍の1万8000℃にも達し、エネルギーはTNT火薬換算で1億メガトン。地球上のすべての
核爆弾の1千倍〜1万倍にも相当する。
飛び散った隕石や海水、海底の岩盤の総重量は2兆トンにもおよび、すべてがチリやガスと
なって地球を覆い始め、イリジュウムは世界中に分散する・・・
シカゴ大学のエドワード・アンダース博士によると、ススの量から推測する火災の規模は、
陸上の樹木のすべてが一挙に燃え上がったと考えられる程のものであると考えられた。
ただし、隕石が巨大だと言っても地球の大きさから考えると局所的なものであり、地球上の
すべての植物が全滅したのではなく、地表に出ていた石炭や石油といった化石燃料が大陸
規模の森林と共に燃えあがり、大量のススが発生したと考えた。
※ちなみに、後年ユカタン半島で見つかった6500万年前のクレータは、まさに直径200Km
であった。・・・す、すごすぎる!科学者の頭って、いったいどうなっているのだろうか?
C.隕石衝突による生物の大絶滅のシナリオ
巨大隕石の衝突による大火災は二酸化炭素を大量に発生させ、地球は一時的に酸欠状態
となり、かなりの恐竜や生物にダメージを与えられたと考えられますが、異変はそれだけで
は終わらなかったのです。
膨大なエネルギーによりおびただしい海水が蒸発し、それらは隕石や岩盤の粉塵とともに
成層圏に達し、地球を分厚く覆い太陽光線をさえぎります。3〜6ヶ月に渡って月明かりの
10分の1と言う暗黒の世界が続き、このために地球の気温は急速に下がり始めて内陸部
では氷点下30度にも達したと考えられます。
太陽光線が途絶えた地上では植物が光合成ができずに枯れ始め、つづいて草食恐竜が、
さらには肉食恐竜が滅びた考えられています。ついに食物連鎖の切断によって1億数千万
年に渡って地上を支配した恐竜の時代が終わったのです。
時がたつにつれ、やがて地球を取り巻く粉塵は地表に降り落ち、気温が上昇し始めます。
粉塵の無くなった大気中には大量の水蒸気が残され、この水蒸気が生物の大絶滅を引き
起こすことになります。大量の水蒸気が太陽熱を大気中に閉じ込める温室効果です。
寒冷化した地球の気温は急上昇します。マイアミ大学のC.エミリアミ博士の計算によると、
巨大隕石の衝突前より10℃も上昇し、しかも長期間に渡ったと考えられています。寒さでは
生き延びたプランクトンも、海面付近の海水温度の上昇には耐え切れず死滅して行きます。
植物プランクトンの死は海中での酸欠を招き、さらにプランクトンの死によって海でも食物連
鎖の切断が起こり、動植物の45%が絶滅すると言う結果へとつながったのです。
※これで周期的に、何度も起こっていた生物の大絶滅の謎が解かれるかもしれません。
2.肉体巨大化説
生物は、世代交代を繰り返すほど大きくなることが知られているが、恐竜は1億数千万年
の長きにわたっていき続けたために肉体が巨大化しすぎ、生きていくうえで不都合になって
絶滅したとする説。
ただし、6500万年前の大絶滅が説明できていない。
3.気候変動説
爬虫類である恐竜は、哺乳類のような恒温動物とは異なり、自分の体内で熱を作ることが
出来ない。そのため、いったん体温が下がると自力で体温を回復する事ができません。
逆に熱をためすぎると熱射病で自爆してしまいまうと言う、周りの温度に影響を受ける変温
動物すなわち気候の変化に弱い動物なのです。中には、自らの身体を変化させたものも。
ステゴサウルスに代表される剣竜類と呼ばれる背中に骨板を持つ恐竜がいますが、あの
骨板はソーラシステムであると同時にラジエータであると考えられています。
ただし、生物の大絶滅が起こるほどの気候変化の痕跡が証明されていません。
4.有毒植物説
有毒植物が大量に繁殖し、それを食べた恐竜が絶滅した。
ただし、恐竜によって食べる植物の種類(裸子植物・被子植物など)が違っていることが
証明されており、大量絶滅の説明としては無理がある。
5.哺乳類出現説
哺乳類の先祖が出現し、恐竜の卵をかったっぱしから食べてしまった。
私が子供の頃、子供向けの科学雑誌にこの絵が書かれていたのを記憶している。しかし、
いまはこれも根拠のないこととされている。
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