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’０２年５月２２日、たまたま国会中継を見ていた。「衆議院予算委員会の集中審議」である。
社会民主党の横光克彦議員の質疑中だった。中国･瀋陽の日本領事館に、北朝鮮脱出者の一家５人が亡命を求めて駆け込もうとした事件について、中国側と日本政府・外務省の発表があまりにも異なるため、民主党が現地で追跡調査を行いその結果を発表した。そしてその内容を「自虐的」と小泉首相が発言したことについて、「他党の議員が何度も言っているので繰り返さないが」と前置きし、「なんと、了見の狭い人だろう・・・」と発言したとたん、首相は横光議員の発言をさえぎり（「このことについて答弁は要らない」という議員の発言を無視して発言し始めた為、議員は、「ではどうぞ」と退いた）、「発言は自由であり、表現は自由であるべきで、野党が与党を批判する事が良くて、与党が野党をあれこれ言う事を批判することはおかしい云々」と、一見正論の様な頓珍漢な発言であった。私は思わず嘲笑してしまった。
それに対して横光議員は、「発言の自由は当然の事だが、私の言っているのは与党だから野党だからでは無く、力を合わせて事に当たろうと言っていることに、それを否定的に発言するそのことを言っているのだ！」と言った。質疑の流れを見ていれば、横光議員は正しくその様に発言しており、明らかに小泉首相の答弁の方が大きく的外れであった。
そのことに対して、こんどは首相の答弁は無く、アップになって画面に映し出された小泉純一郎首相の顔は赤面し、うつむいてしまった。人の揚げ足を取ったような、いつも人事のような発言をする小泉首相が、激昂した様に発言を無理にさえぎってまでした発言の結果は、無様だった。頓珍漢の答弁で墓穴を掘った自分を悔やんだ事だろう。最近、首相の発言が減ったのはこのためばかりではないだろうが、これ以降発言が減った事は事実である。「羹（あつもの）に懲りて膾（なます）を吹く」の例えは、このことであろう。
これに懲りて、また他人事の様に答弁･発言する人に戻るんだろうな・・・と思って見ていると、不意に「鼓腹撃壌」と言う言葉を思い出した。・・・むろん意味につながりは無いのだが、為政者の姿として、考え方として、あまりのレベルの違いに思い出したのだ。
『鼓腹撃壌 』
言わずと知れた、「腹つづみを打ち､土くれを打って､歌う意」から「生活が安楽で､世の太平を楽しむこと」を表す成句。そして、その様に治まっている治世を表す言葉です。
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